知らないことを知る、ザイオン・クラークという男。

知らないことを知る、ザイオン・クラークという男。

Youtubeでトレーニング系の動画を見るのが日課なのだが、先日ホーム画面のおすすめの中に出てきたサムネイルで衝撃を受けた。

両手だけで走る世界最速の男、ザイオン・クラークである。

第一印象はめちゃくちゃ良い体してるな…。で、次点で思い浮かんだのは、一体その体でどうやって生きているんだろうという素朴な疑問。

常識の外側から思いっきりぶん殴られたような、そんな感覚だった。

ザイオン・クラークという男

「僕にとってはこれが普通」と語る彼は稀な遺伝性疾患で生まれつき下半身がない。その奇異な見た目があったからか、生まれてすぐに養子に出され、養護施設や里親を転々とした。

ネットフリックスに11分程度の短編ドキュメンタリー番組があるので、登録されている方はぜひ見てみてほしい。

ザイオン | Netflix (ネットフリックス) 公式サイト

複雑な生い立ちから幼少期にはいじめにも遭いヤサぐれていたが、16歳の時に里親からのススメでレスリングと出会い、そこから人生を大きく変えていったというストーリー。

日々レスリングの練習に臨む姿がとてもカッコいい。そして何より筋肉隆々の腕、胸、肩がめちゃくちゃ圧巻だった。

ストーマという存在を初めて知る

不要なものを体外にどう排出するかは生命維持において欠かせない活動である。

末期がんで昏睡状態であった祖母が、自力で排泄ができなくなった数日後に亡くなった。排泄という行動が生命活動のために、極めて重要なのだとそこで気付いたからだった。

下世話かもしれないが、彼の私生活に関わる細かいことは番組や動画などでは一切紹介されていない。ただ、疑問を解消せずにはいられず、気になって色々調べてみたところ、ストーマと呼ばれる排泄処理を人工的に担う医療器具の存在を知った。

病気や障害、事故などに起因して、便や尿の出口を外科手術によって人工的にストーマ(人工肛門・人工膀胱)をお腹に取り付けている人たちをオストメイトというらしい。

厚労省の報告によると日本国内におけるオストメイト人口はおよそ20万人。これは東京都の西東京市や三鷹市の人口とほぼ同じ数である。なぜこれだけの人数がいるのにあまり一般的ではないのか(私が無知なだけということもありますが…)。

オストメイトの年齢分布を見ると60歳以上が8割超で、また、知られるのは家族や近しい友人・知人だけに留めておきたいという回答が8割を超える。
社団法人日本オストミー協会 | オストメイト生活実態基本調査報告書より引用

年齢層が高く、また近くの人だけに留めておきたいという理由から、一般認知が進まない背景があることも初めて知った。

ふだん視界に入っているはずの街中にも

ストーマという存在を初めて認知したのだが、よくよく振り返ってみると私も、皆さんもどこかで必ず目にしたことがあるはずだ。商業施設やビルなどに必ずある多機能トイレ。お腹に十字の絆創膏が貼ってあるマークの存在である。

また、別で洗面台のようなものが備え付けられているトイレもオストメイト利用者用の設備とのこと。なんに使うんだろうくらいには思ったことはあったが、特に気にも留めていなかった。

知らないことを知る。ザイオン・クラークとの衝撃的な出会いから改めて無知の知を自覚した、そんな体験だった。

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