デザインを評価すること
この問いに正確な答えを用意するのはなかなか骨が折れます。
例えばある人は「造形の美しさ」と言うかもしれませんし、またある人は「色彩の豊かさ」と言うかもしれません。デザインに華美な装飾を求める人がいる一方で、極力無駄を排する単純化こそがデザインの本懐だと説く人もいるでしょう。
しかしそれらはどれもが正しく、ただしどれもが“良さ”の一端をピックアップしているに過ぎません。なにより、論理的な定義としてはいささか表現が曖昧で感覚的に過ぎます。
この問いに簡潔な答えを持ち合わせる人は非常に少ないと思います。
それは、デザインを生業としている専門家たちも決して例外ではありません。現に、デザインの学舎で教鞭を振るう立場に在る私自身、学生に突然問われたらどう答えたものかと言葉を窮してしまうことでしょう。
でも、あえて問われなければデザインなんてそんなもの(感覚的で論理では説明がつかないもの)なのかもしれません。
むしろだからこそ、デザイナーとは『美的感覚』という定義が難しい性能を有した──いわゆる“センス”がある人が行う特殊な職であり、故に我々のようなデザイン業が成り立っているのかもしれません。
わからないなら、わかる人に頼めばいい。アウトソーシングとは素晴らしく効率的なシステムです。多くの場合、これで何も問題ありません。
しかし本書では、そこから一歩踏み込んで“良いデザイン”について、極力曖昧化せず論理的に解説していきます。
そして、主にマーケティングに従事されているノンデザイナーの方に向けて、美的センスという曖昧な尺度に囚われずデザインの良し悪しを判定できるよう、知識としてデザイン評価の定義を共有していきます。
ビジネス的なデザインの正解を目利きする
もちろんだからと言って、本書は「読むだけで誰でも良いデザインを制作できるようになる」といった魔法のような効用はありませんし、デザイナー諸兄姉の偉大な経験則を蔑ろにするような意図もありません。
あくまで、評価方法を知ることで自社サイトの問題点への気づきを得られたり、今後クリエイティブを依頼する際に、より建設的で戦略的な議論をするための指針としてお役立ていただければ、といった趣きの内容になっております。
デザインの良し悪しとは、評価基準が多様で極めて複雑なものです。
そこには個々人の趣味や好みなど主観が多大に影響しますし、そういった「画一化された正解がなさそう」な性質上、美術的素養への自認が低い方にとってこの議論はできれば避けた話題なのではないかと思います。
しかし、ことビジネスに関しては明確なゴールがあり、そのゴールへのアプローチとして正しいか否か、筋が通っているか逸れているかという視点で目利きができます。
マーケティング知識のある皆様の頭脳と本書のデザイン知識があれば、難しかった評価もきっと言語化できるようになるでしょう。
本書は、UXデザイン(User Experience Design)などの知見──デザイナー個々人の経験や能力あるいは矜持によって属人化した曖昧な尺度ではなく、体系化されたデザインの学問領域を用いたデザイン戦略のガイドブックです。
巻末にはデザイン評価のチェックシートや、計画前にまとめておきたい項目など、実践的な内容も集録しております。
続きはぜひ、以下のリンクよりダウンロードの上お楽しみいただけますと幸いです。
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「良いデザインとは何か?」UXなどデザインを体系化した学問領域の観点からマーケティングにおける“デザインの正解”を言語化した珠玉の一冊。