突然ですが、このほど私たち有限会社ズームはフィットネスの新規事業を立ち上げました。
『FitAgo!』は──詳しくは公式サイトをご覧いただきたいのですが──簡単にいうと、動画から骨格や筋肉など身体のバランスを分析・診断して、その身体の特徴にあった運動メニューを提供するという、フィットネスのオンラインオーダーサービスです。
分析の結果は“ウェブ診断書”、運動のメニューは“運動7種目7分間の動画”で提供します。料金は一回3,500円です。
平生、デザインの企画制作やコンサルティングといった事業者向けの──いわゆる裏方仕事を生業としている私たちが、一体なぜこのようなtoC向けの事業を始めたのか、その経緯を知るごくごく一部の人達を除いては、どんな角度から見ても謎でしかないと思います。笑
が、全てを語り尽くすことは難しいとしても、その一端でもお伝えできればと思い、本日は筆をとった次第でございます。なるべく初期の経緯から振り返ってみますので、お付き合いいただけますと幸いです。
構想20ヶ月 & 開発11ヶ月
そもそもの始まりは、当社で一昨年2020年の7月から取り入れた『マッスルビルド』と呼ばれる、健康診断の一貫となる施策が発端となります。
内容は「アライメント(骨格の整列度)や筋肉の付き方を診て、理想のバランスを目指した筋トレメニューを作成してもらう」といったもの。
後々『FitAgo!』で共同開発に連盟していただくことになる、LEADOFFice株式会社さんに顧問についてもらい、専門家による生理学的な観点と個々人の持つ審美的な理想値のヒアリングを基に目標を設定し、現在も3ヵ月に1度の定期検診で経過の見守りと筋トレメニューの更新をしてもらっています。
おそらく、会社の健康診断で筋トレメニューを作成している所は、世界でただ一社なんじゃないかと思いますが(笑)なぜそんなことを始めたのかというのは、このブログで度々出現している以下の図を見ていただければ理解が早いと思います。
以前書いた記事より引用します。
企業で求められる社員の能力は、一見この図における頂点に位置する“スキルや能力”と捉えられがちである。だが、実はそれを余す事なく発揮するためにはモチベーションが必須であり、さらにモチベーションを維持するためにフィジカル、つまり土台となる体力の充足がなくては何もままならない。
https://zoom-design.jp/blog/columns/post-1319/
人の身体は男女問わず、25歳をピークに成長ホルモンの分泌量が低下に転じていき、30歳前後から年間0.5~1%のペースで筋肉が分解され減少していきます。
それらの結果として、慢性的な疲れであったり回復力の低下であったり集中力の低下であったりが自覚症状として表出してくるのですが、「そういった生産性を下げる要因を運動習慣によって潰していこう」というのが、この施策の趣旨です。
初心者であればあるほど参加しづらいフィットネス業界
『身体のアライメント診断とトレーニングメニューの作成』
このサービスの内包する凄まじい価値に気がついたのは、早速1回目の検診を終えた翌週、送られてきた診断書とトレーニングメニューを見た時でした。
私はフィットネスジムに通い始めて今月で丸6年になりますが、今も昔も「一体どこをどう鍛えるべきなのか」は常に悩みの種です。
最初のうちは、根気強くインターネット上を彷徨ったりもしていましたが、ネット上に転がる膨大で侃侃諤諤な情報を選別するだけでも一大事業。その中から自分に合った解に辿り着くまでトライ&エラーと思うと、気が遠くなります。
このゴールも道筋も見えない事による「筋トレ開始前の意思決定の難しさ煩わしさ」は、初心者であればあるほど高いハードルとなって立ち塞がります。
私は『スタートアップ ストレス』と呼んでいますが、このあまりに暗中模索に過ぎる状況が、先進国中極めて低い日本のフィットネス参加率に現れているのだと思います。
現状このペインを完全に解消するためには、パーソナルトレーニングを行う必要がありますが、パーソナルトレーニングは最低でも1回1時間1万円前後。週に1回の実施としても月に4~5万円は見ておいた方がいい高価格帯のサービスです。
これをやるには、かなりの高い問題意識と強いモチベーションがなければ一歩を踏み出すことすら難しく、そもそも何の関係性もない中で信頼できるトレーナーさんを探す段階にもまた、もうひと苦労あります。
初心者であればあるほどお金か時間がかかり、
初心者であればあるほど強い意志を必要とする。
このチグハグな状況をなんとか解決する可能性を、私は『マッスルビルド』に見ました。
日本人が長く健康で機能的な身体でいるために
と、以上が『FitAgo!』開発に至った前段の動機となります。
ただし、『マッスルビルド』はそのままパッケージしても、現状あるものとあまり変わらない高価格帯のサービスになってしまいました。
なので、なるべくオートメーション化したり、初心者では享受しづらい過剰なサービスを削ぎ落としていったりと、苦労に苦労を重ねて「フィットネスの入門的サービス」と言って差し支えない、シンプルな内容で手に取りやすい形を実現しました。
このサービスを市場に投げ入れることによって、トレーニングがもっと始めやすく身近なものになっていったら良いなと、そうして日本人が長く健康で機能的な身体でいることで、これからくる超高齢化社会を乗り切る一助になれるのではないかと、そんな期待を込めています。
本当はもう少し、その開発の苦労話や、裏方仕事を生業とする我々が表立つ覚悟なぞ書いていきたかったのですが、存外長くなってしまったので本日はこの辺にしておきます。
それでは、ぜひ、よかったら。
『FitAgo!』公式サイトを一度、ご覧になられてみてください。