2019年、締めのご挨拶

2019年、締めのご挨拶

ブログをご覧いただいている皆様、こんにちは。
ズーム代表取締役社長の長谷川です。

今年も残すところ僅かとなりました。
2019年中のブログ更新は今回が最後となりますので、ご挨拶申し上げたいと思います。



さて、



有限会社ズームは、1977年に先代の長谷川洋一が創業した会社です。
名字が一緒なので、お気付きかと思いますが洋一は私の父です。

’77年4月13日に創業し今期で43期目となるのですが、実は私が会社を引き継ぐことになる2017年の4月まで、しばらくの間“休眠状態”にありました。

私が父の会社を承継したいと志し始めたのは齢10の夏。小学5年の頃に書いた「将来の夢」というテーマの作文によって顕在化しました。
しかしその翌年の冬。なんの因果か、父はくも膜下出血で倒れ小脳を摘出。二度と自力で食事もできない身体になり、3年後に他界しています。

父が倒れてから約8年の間、当時の部下だった方々が業務を引き継いでくれて、規模は縮小してしまったものの、どうにか経営を継続していただいていたのですが、私がいよいよ専門的にデザインを学びはじめたというところで、その灯火も潰えてしまいました。

しかしズームの承継は、その時点で10年近い期間育んできた人生で最も大切な夢。
私は、もっと力をつけて必ず会社を引き継ぐという旨を表明し、様々な方のご助力を得て休眠という形で保持していただくことになりました。これが、ズームが休眠状態に至った経緯です。

時に遮二無二、時に深謀遠慮。目標達成のためアンテナを張り巡らせ、力を磨き、承継にはそこからさらに10年の時が掛かりました。ちなみに現在当社で私の右腕として剛腕をふるってくれている取締役の三井はその間に出会い、その気骨に惚れ込み声をかけた男です。



なぜ今こんな事をわざわざ書いているかと言うと、それは決して悲劇に同情して欲しいわけでも、精神性に同調して欲しいわけでもありません。実際、幼少期の親との死別なぞ悲劇と呼ぶにはあまりにも有りふれたエピソード。ズームの維持に関していえば私はほとんど何もしていません。



現在当社は43期目を終えようとしていますが、その実、今この会社で働く我々の持つストーリーは3期にも及びません。

休眠を経ているため、引き継げる業務も顧客リストもありません。創業当初はエディトリアルデザインの会社として書籍を扱っていましたが、現在は媒体も変わり、業態も異なります。

そのため我々は、「有限会社ズーム」という屋号は引き継いでいるものの、全く新しい会社として認識し、振る舞っています。それは実際問題これからも変わらないでしょう。逆に創業者に近いエネルギーを発揮できる分、世間一般の2代目経営者より柔軟に働くメリットさえあると思っています。

ただそれと同時に、この3年弱折に触れ、創業の歴史を知る度、当時のズームと関わりのあった方達とお会いする度、父としてではない私の知らない先代の一面を垣間見る度、「ああ、この会社は確かに43年存在していて、その期間に見合うだけ多くの方々によって支えられてきた会社なのだ」と実感するのです。

時には「当時は本当にお世話になった」と目に涙を浮かべ、ズームの存続を喜んでくれる方もいらっしゃいました。職人気質だった先代は、経営者としての才覚はともかく、極めて高いデザインセンスを有し、そして何より超がつくほどのお人好しの世話焼きだったようです。



有限会社ズームは、1977年に先代の長谷川洋一が創業した会社です。
しかし、休眠を経て承継した私の代になってからは、まだ2年と9ヶ月と歴史の浅い会社です。



これまでは、父の愛したこの会社の名前だけでも残せれば良いと考えてきました。

けれど44期目を迎える来年2020年からは、名前だけではなく、ズームがこれまで培ってきた歴史やズームへ向けていただいている様々な方の想いまで含めて、本当の承継を遂げたいと強く思っています。

今回、なぜわざわざ私の半生などを掘り返したのかと言うと、この決意を表明するため筆をとった次第です。



先代経営時のズームを支えてくださった皆様、休眠から現在までズームの屋号を守ってくれていた皆様、そして今現在、我々を良きパートナーとして迎えいれてくださっている皆様。本当にありがとうございます。

私たちは果報者です。

この連綿と続く感謝の連鎖を自分たちの手の中で止めるわけにはいきません。
今後もより一層の決意と、覚悟をもって、感謝で連なる鎖の一つを勤め上げてまいります。



ご挨拶が長くなってしまいましたが、最後までご高覧ありがとうございました。
来年もまた、よろしくお願い申し上げます。

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