体を動かす人ほどストレス耐性が強い理由

体を動かす人ほどストレス耐性が強い理由

心身の健康にとって運動はプラスに働く。

そんなこと頭で分かっていてもやらない人は多い、かつての私がそうだった。

20代半ばの頃、職場で皇居マラソンが流行っていて、仕事終わりに何度も誘われることがあったが、ナゼ疲れることをわざわざやるのかがまったく理解できなかった。

年収が高い人は運動を習慣化してるだとか。社会で活躍している多くの人はジョギングや筋トレをしているだとか。頭がすっきりするとか。そんな好意的な情報は耳にタコができるくらい聞いていたし、知っていた。

飽きっぽく、面倒くさがりだった私が今では週数回ジムに行って体を動かしている。10年前の私が聞いたら、ナニソレ!?と驚くことだろう。

運動は身体的能力だけでなく知的能力も向上させる

運動は、身体能力だけでなく、知的能力も機能を向上させることが分かっている。具体的には集中できるようになったり、記憶力が高まったり。そして、本題にもあるとおり、ストレス耐性も強くなる。

これらはストループテストという検証で明らかになっている。ストループテストとは、脳の実行機能を調べるテストで、色と意味が異なる色文字を瞬時に判別して色を答えるというもの。注意力や集中力、衝動の抑制などを検査することができる。

『脳の実行機能とは~』
複雑な課題の遂行に際し、課題ルールの維持やスイッチング、情報の更新などを行うことで、思考や行動を制御する認知システム、あるいはそれら認知制御機能の総称。

こんな感じの文字が次々に出題されるので、文字ではなく、色の名前を答えていく。つい文字をそのまま読もうとしてしまって混乱するので、試しにぜひやってみてほしい。

このテストを受けさせる前に、20分間の運動した人としてない人では、体を動かした方のグループが、成績が良かったことが分かった。散歩やランニングしただけでも効果が見られたのだが、一番良かったのは数か月間にわたって定期的に体を動かした場合。

体を動かすことで、なぜか集中力が向上し、瞬間的な衝動を抑えることができた。

この結果からスウェーデンの小学校では、授業前に15分~20分程度体を動かす取り組みを始めた。すると、以前よりも集中して授業を受けられるようになり、衝動的な行動が減った結果、目に見えて成績が上がったという報告もある。

たった6分間の軽い運動でも効果がある

20分とはいえ、だからといって意識的に時間をとって運動するのは難しい。そう思う方もいるかもしれない。しかし、ほんの少しの運動でも効果があることが分かっている。

100人の小学生に4週間毎日運動をさせ、その以前以後で心理テストを行った。すると、一つのことに集中する力や情報を処理する脳の実行機能が上がっていたのだ。驚くべきは、体操の動画を見ながら一緒に軽い運動を1日たったの6分間でその効果が得られたということ。

子どもだけでなく、大人にも効果があるのか。答えはある。

ただし、軽いランニングなどの運動で集中力の向上は見られたが、脳の実行機能の改善については数週間から数か月間の定期的な運動が必要であった。

では、なぜ体を動かすと集中力が増すのか。狩猟民族として人類が進化した名残だと考えられる。

ドキュメンタリー番組などでアマゾン奥地にいる現地民族への密着番組を見ると分かるが、匂いや足跡、音といった微細な情報を頼りに狩りをする。

体を動かさないことには食糧が尽きて生き残れない。一方で、食糧確保のために体を動かすと毒蛇や肉食獣との遭遇もあり得る。体を動かす=集中力を高めるというプログラムが人に組み込まれていると考えるのが自然なのだ。

ストレスへの対処法は戦うか逃げるかの2択

人がストレスに晒された時の対処方法はたった2つしかない。戦うか逃げるかである。これは、狩猟民族時代から変わっていない普遍的な生存本能のシステムだ。

ストレス耐性の強さ、弱さは警報機の感度のようなものと捉えることができる。強かろうが弱かろうが、警報機が鳴った時点で戦うか逃げるかを迫られてストレスを感じてしまうのに変わりはない。

太古の昔は、現代と比べて骨の太さや骨格が違っているくらい体を動かすことが生活の一部であった。加えて、筋肉や関節の可動性や柔軟性が十分にあり、体のコンディションの良い人の方が逃げ延び、生き残ってきた進化の過程がある。

これは脈々と受け継がれている現代においても同じことが言える。体を動かしている人は身体機能や知的能力がうまく機能しているから脅威から逃げ出す準備ができているので心に余白が生まれる。

すると、警報機の感度鈍り、結果ストレスに強くなるのだ。運動がストレス耐性を上げる理由はそこにある。

さいごに

運動を習慣化できるようになった人が確証バイアス的に好意的な情報を書き連ねているように思われるかもしれないが、運動や筋トレをしたからといって、すべてのストレスに耐性ができるような万能なものではない。

SNSが主流のデジタル時代では、他者との相対的な比較で不安やストレスも抱えやすい。自分自身や親の老後の心配だって、金銭的な心配だってある。どんな立場であっても行きつくところ、その時その時で悩みや不安、ストレスのタネがなくなることはない。

一方で、ちょっとした運動で解決できるストレスや問題も間違いなくあるのも事実だ。

どんな運動であっても体に良い効果がある。散歩、ヨガ、筋トレ、ラジオ体操、ランニングなんだっていい。自律神経の観点からも心拍数を上げた方が良いが、上げなくても効果はある。

1日数分でもいい、まずは軽い運動から始めてみてはいかがだろうか。

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