鼻呼吸のススメ

鼻呼吸のススメ

昔から、アレルギー性鼻炎持ちで通年通して鼻がつまり気味なので、基本的に口呼吸をメインで生きてきた私。小学生の時に家族揃って近所の耳鼻科に出向き、10何本もアレルギー検査の注射を腕に打って、スギ花粉やダニやハウスダストのアレルギーがあることも分かっている。

それでもがんばって鼻呼吸にしようとしていたが、無意識にスーピースーピーと音が鳴るそうでよくよく友達に鼻息を注意されて、ムッとする思いもしてきた。しかしながら、大人になってからのここ数年は自然と意識的に鼻呼吸に改善できるようになってきた。

改善できてくると好意的なデータを集めたくなるもので、口呼吸が習慣化すると喉が乾燥してしまう。自分では中々気付きにくいが、口臭の原因にもなったりする。

また、無意識に口がポカンと空いてバカっぽく見えてしまうし、顔のカタチも変わったり、歯並びにも影響する。代謝も落ちるなどなど悪いことづくし。まさに百害あって一利なし。

今回は鼻呼吸にすることのメリットを書いていきたい。

鼻は自前の加湿空気清浄機能付きエアコン

ウイルス感染症予防には、鼻呼吸をすることが効果的と言われている。それは、鼻毛が空気中の細菌やウイルスを取り除くフィルターの役割をしているからなのだが、実はそれだけではない。

毛細血管が集中している鼻甲介(びこうかい)というところで冷たい外気を瞬時に温めてから肺に空気を取り込んだり、空気が乾燥している場合には、鼻の粘液が適切な湿度に空気を湿らせる機能もある。逆に空気を出す時は体温を下げないように鼻で空気を冷やしてから外に放出する。

そう、鼻という器官は、家電メーカー顔負けの加湿機能と空気清浄機能が付いた高性能のエアコンなのだ。

気管支内に異物が侵入してくると、粘膜で覆われた線毛が異物をキャッチし、外へ外へと押し出すように動く。そして、「痰」や「咳」で喉の方へ排出されるのだが、空気が乾燥していたり、湿度が足りていないと、異物をキャッチする粘膜が乾燥し、線毛の動きが鈍くなってしまう。

口呼吸では、空気の温度や湿度調整がうまくされないため、ゴミやウイルスといった異物が取り除かれずダイレクトに体内に入ってしまう。これが、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなるワケだ。

当然ながら、口呼吸が常態化すると喉は乾燥する。特に寝ている間は水分補給ができないため、カラカラに乾いてしまう。寝起きで口が臭い。口の中がネバネバしたり、喉がイガイガするのは気持ちが良いものではないが、目には見えない外敵から体を守るという観点でも鼻で呼吸することがベストなのだ。

口は消化器官の入り口であり、鼻は空気の入り口。それぞれちゃんとした役割を持った機能を持っている。自然界にいる哺乳類の中で口を呼吸器官として使うのは人間しかいない。口で呼吸するのは不自然なのだ。

手の皮が剥けるのは口呼吸が原因だった…?

小さい時から季節の変わり目や冬の寒い時期など、多い時で年に数回手足の皮膚の皮がずる剥けになることがあった。分かる人は分かると思うのだが、セーター、マフラーなどのウールや毛糸系の衣類は手の皮がプチプチと引っかかるので感触が不愉快。見る人によっては痛々しかったり、見た目もすこぶる悪い。

これは掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)といって、手や足に小さい水ぶくれができたり、かゆくなったり、皮が剥けたりする原因不明で治りにくい病気らしい。今となってはあたりまえの指紋認証はまったく機能しないレベル。皮膚科に行って塗り薬を処方してもらったり、保湿クリームや馬油など散々試して劇的な改善はなかった。

のど元過ぎれば熱さ忘れるで、数週間で一通りの皮がむけると綺麗な手のひらに戻るので季節性のイベントみたいなものとして長年付き合っていた。父親の手の皮もよく剥けていたので勝手に遺伝だと思っていたのだが、もしかすると原因はどこか別のところにあるんじゃないかということに最近気付いた。

仕事で2年間タイに住んでいたことがあるのだが、生活習慣が大きく変わったわけではないのにタイでの生活中、一度も手の皮が剥けることはなかった。おそらく、1年を通して温暖な気候であることと、湿度の高さにあったように思う。

「病巣感染」と呼ばれる病気発症の仕組みがあり、体のどこかの慢性的な炎症が免疫系を乱して、別の部位に病気を引き起こすことがある。特に、その大元になりやすいのが、喉や鼻の奥の方にあるらしい。

調べてみたところ、掌蹠膿疱症と喉にはどうやら関係があるようで、鼻呼吸で掌蹠膿疱症が改善されたり、アトピーや関節リウマチが改善したという例もあったらしい。

確かにここ数年で鼻呼吸ができるようになったのだが、タイから日本に帰国してからもずっと以前のように皮膚がボロボロになるということはなくなった。

寛解してから原因が分かるというのもなんとも皮肉な話である。

口呼吸の改善と睡眠の質を向上させる方法

最後に鼻炎持ちの方へ口呼吸の改善と睡眠の質が格段に向上するおススメの方法をご紹介したい。

それは、点鼻薬と睡眠テープ。口呼吸が改善してきたとはいえ、熟睡中に鼻で呼吸がしづらくなると口が勝手に空いてしまうことがまだまだある。なので、寝る前に鼻のとおりを良くして睡眠テープを口に貼る。

これだけで口呼吸をある程度矯正することができるし、翌朝の口の潤い具合もまったく違う。

ご存じの方も多いとは思うが、市販品の点鼻薬は鼻づまりが一瞬で解消される奇跡の薬なのだが、一方で依存性があり、一日に何度も服用すると逆に鼻づまりを誘発するデメリットがあるので要注意だ。

人体には変化への慣れと機能そのものを維持向上しようとする力がもともと備わっている。習慣の力が恐ろしいといわれる所以であるが、鼻がつまり気味だからといって、口で呼吸していると口呼吸の生き物に変わってしまう。

点鼻薬のナザールは根本的な改善ではなく、掌蹠膿疱症の例と同様皮膚の塗り薬のようなものでその場しのぎの対処療法でしかない。

このことを深く理解してもらった上で睡眠テープとの併用をおススメしたい。

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