先日、レンタルビデオショップを運営するGEOがひっそりと食料品店をオープンしたというニュースが出ていた。
レンタル店がこっそり食料品店に…「ゲオヤ」とは?
引用:Yahooニュース
レンタルビデオチェーンがこっそり食料品の店を始めました。1月、東京・板橋区に大きな宣伝もせず、こっそりオープンしていました。店内はまるでコンビニエンスストア。その名も「ゲオヤ」。密を避けるため、会計はセルフレジです。コロナ禍にレンタルショップが手掛けた「ほぼ無人」の食料品店。
コロナ禍よりずっと前から企業の多角化経営、収益の柱を分散するリスクヘッジ、本業とのシナジーを考え、別業態や別業種へのチャレンジ、企業買収は当たり前のように行われてきた。なんと、あのニトリも今年3月から飲食店経営に乗り出していたそうだ。
引用:東洋経済オンライン
普段日常生活で運営会社や親会社を気にして調べる人は中々いないだろうから、よく見るあのお店が何の会社なのか…意外と知っているようで知らない人は多いはずだ。
今回は、企業の親子関係やグループ会社などをまとめていきたい。参考URLも記載するので気になるところがあれば、背景などより深掘って調べてみるのも面白いだろう。
スーツのAOKIと漫画喫茶の快活クラブ
AOKIと言えばスーツの会社というイメージがあるが、漫画喫茶の快活クラブを運営している快活フロンティアはAOKIホールディングスの完全子会社。
その他にもカラオケやフィットネスジムの経営を手掛けている。コロナ禍で紳士服が苦戦しているのは想像に難しくないが、快活クラブは売上高、店舗数ともに業界1位の座にいる。
星乃珈琲とドトールコーヒー
2007年、ドトールコーヒーショップと日本レストランシステムの2社により、株式会社ドトール・日レスホールディングスという持株会社を設立され、2社はその完全子会社となった。
星乃珈琲は2011年1号店を出店。日本レストランシステム傘下で運営をしているが、親会社は同じ。ドトールは低価格帯市場を狙い、高価格帯市場は星乃珈琲と棲み分けをしている。
ライザップとジーンズメイト
結果にコミットするでお馴染みのライザップだが、営業赤字が続いているジーンズメイトを2017年にライザップが買収して連結子会社化。
トレーニングウェアや女性用下着、ゴルフウェアなどのアパレル事業を抱えていることから、販路拡大や物流コストの削減でジーンズメイト事業の「V字回復」が可能だと判断。その他ヘルスケアや美容関連の事業も手掛けている。
ダスキンとミスタードーナツ
1970年1月27日、ダスキン創業者である鈴木清一氏が、ミスタードーナツを日本全国でフランチャイズ展開できる権利を42万5000ドル(当時の日本円換算で1億5300万円)で買うことを決断。
ローソンと三菱商事/ファミリーマートと伊藤忠商事
2016年に三菱商事が当時コンビニエンスストア第3位のローソンを買収して連結子会社化。昨年2020年には伊藤忠商事によるTOB(株式公開買い付け)が成立し、ファミリーマートは上場廃止、完全子会社化へ。
余談ですが、業界最大手のセブンイレブンはというと三井物産が大株主として名を連ねている。
株式会社セブン&アイ・ホールディングス 株式の状況
総合商社の大手三社が実はコンビニ上位3社とそれぞれ密接な関係があるというのは一般的にあまり知られていないのではないのではないでしょうか。
大手飲食店チェーン各社
株式投資で個人投資家から人気の大手飲食チェーン店。株主配当ではグループ企業内であればどこでも使える優待券がもらえるため、高配当株としても有名だ。経営統合や新規出店等々でTVやニュースメディアでもよく取り上げられるので、知っている人も多いはず。
すき家、なか卯、はま寿司、ココス、ジョリーパスタ…etc
株式会社ゼンショーホールディングス ブランド一覧
吉野家、はなまるうどん…etc
駅ナカで見かけるお寿司テイクアウトの京樽も吉野家傘下だったが、スシローが買収。はなまるうどんで京樽のおにぎりを見かけなくなってしまった。
株式会社吉野家ホールディングス グループ会社
ガスト、バーミヤン、ジョナサン…etc
株式会社すかいらーくホールディングス ブランド一覧
ロイヤルホスト、てんや、シズラー、シェーキーズ…etc
ロイヤルホールディングス株式会社 グループ主要ブランド
大戸屋、かっぱ寿司、牛角、しゃぶしゃぶ温野菜…etc
大戸屋の買収でTVニュースでも多く取り上げられたコロワイドグループですが、これらの親会社は同じ会社。株式会社コロワイド グループ会社
コロナ前の2019年~2020年の飲食業界の売上高は、1位がゼンショーHD、2位がすかいらーくHD、3位に日本マクドナルドで4位コロワイド、5位に吉野家HDとなる。グループ企業や業態の多さに注目しがちだが、1ブランドで業界3位のマクドナルドはまさに脅威的だといえる。
オリジン弁当とイオン
2006年にドン・キホーテがオリジン弁当を運営するオリジン東秀株式の敵対的TOBを発表、オリジン側はこれに反対し、イオンに協力を要請。イオンが友好的TOBに名乗りを上げる。結果として、イオンがオリジン東秀の買収が成立し、イオンの子会社となる。
ちなみにミニストップ、ドラッグストアのウェルシアもイオン傘下である。
ほっともっととやよい軒
お弁当屋さんでほっかほっか亭のフランチャイズをしていたプレナスが枝分かれして、ほっともっとに名前を変更したプレナス。やよい軒のフランチャイズ業も行っている。
余談だが、プレナスはMKレストランというしゃぶしゃぶ店のブランドを持っているが、このMKレストラン、実はタイ国内で現地タイ人には大人気である。
さいごに
飲食店のチェーンが別の業態を出店するケースが多くみられるが、一方で本業とはまったく違った異業種へのチャレンジを行う企業もある。
サービスサイト上では運営企業が分かりづらかったり、そもそも親会社が明記していないことも多いので、経済ニュースなどにアンテナを張っていないと、よほどのことがない限り、企業の親子関係やグループ関係を知ることはできない。
上記で挙げた中だけでもなぜ?という疑問が浮かんだかもしれないが、企業は決して安直な思いつきではなく生き残りを賭けて、また、勝算があると踏んで、より自社が発展するために事業買収や別業種への参入の意思決定を行っている。
トリビア的な雑学としても使えるかもしれないが、成長という観点で関係性や背景を見てみていくと企業戦略の一端に触れるきっかけになる。気になるお店やブランド、サービスがあればぜひ運営企業や親会社を調べてみると意外な発見があるかもしれない。