新型コロナウイルス、ワンルーム在宅勤務の限界

新型コロナウイルス、ワンルーム在宅勤務の限界

新型コロナウイルスで在宅ワークに限界を感じている方はどれくらいいるでしょうか。

限界といっても問題の感じ方は百人百様で、仕事とプライベートの時間管理がうまくできない。職場環境(作業端末、ネット回線、ソフトウェアなど)と違うため、作業が限定的になる。子供やペットの乱入。住環境と職場環境の混同などなど、上げればきりがありません。

それこそ、配偶者の有無、扶養家族やペット、住宅の間取り、業務内容の掛け算によって変わっていく複雑な問題です。

中には(在宅勤務歴が長いベテランの方)仕事と生活環境が同一空間でも、きちんと分別を付けてパフォーマンスを発揮してる人もいるでしょうが、そういった方は限りなく少数で、こと今回の騒ぎで半強制的に在宅ワークを余儀なくされた大多数の皆さんは何かしらの不満や課題を抱えているのではないでしょうか。

私自身(30代一人暮らし未婚男性)、元々住居に対するプライオリティは低く、一人暮らしでは標準と言われている占有面積25㎡の1K(東京23区内)に住んでいますが、この狭い自宅へ仕事環境の役割を追加せざるを得ない今、ワークライフバランスの両立の難しさを痛感しています。

在宅勤務がうまくいかない理由と対策

在宅勤務がうまくいかない理由は、仕事に対するモチベーションや集中力が持続しないからで、その要因としては「自宅の誘惑が多さ」「制限や制約がない」「仕事モードの切り替えができない」ことが挙げられます。

日頃何をしていても許される生活環境には、漫画や雑誌、買いためている本、ゲーム機やスマートフォン、テレビやyoutubeといった家の中で時間を過ごしているものが手を伸ばせばすぐ取れるという状態があります。

人は目先の利益が魅力的に見えるようにできていて、仕事をしようと思っていても、机の上にスマートフォンがあるとつい弄ってしまうし、読もうと思って買った漫画が目に入った瞬間、仕事に集中できなくなってしまいます。

また、家の中では制限や制約がなく、仕事をしようと思えばいつでもできるというのも問題です。

勤務時間や場所が決まっていれば、身体や心が強制的にロックされて、やらざるを得ない状況がそこで作り出されますが、自由な在宅環境では、いつでも実行に移せるからと高を括ってしまい、後へ後へどんどん先伸ばしにする気持ちが湧いてきます。

業務を開始するまでの習慣が乱れていることも仕事のモチベーションを低下させている理由です。

朝起きたら朝食と歯磨きをすませて、着替えて家を出る。駅に向かい電車に乗って会社に到着したら、まず朝のメールチェックをする。平日のこの流れは習慣としてルーティン化しており、これらの動作と移動が自然と仕事モードの精神状態へ切り替えを行っているのです。

つまり、これらを工夫すれば、自宅であっても自律的に仕事ができる仕組みを作ることができると言えます。

頭では分かっていてもそう簡単にできる人は少ない

と、頭で理由と対策が分かったからと言って、できないものなんですよね。これが。

つい先週のNHKですが、社会的な在宅勤務の増加でさいたま市のコワーキングの貸しスペースで利用者が増加したというニュースが取り上げられました。

2月は35席のうち利用者はおよそ半分でした。しかし、新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が広がる中、自宅では集中できないなどの理由で利用者が増え、先月からほぼ満席の状態になったということです。

☞NHK 首都圏のニュース | 在宅勤務増 貸しスペースが盛況  

自宅では「集中ができない」個々の理由は定かではありませんが、自宅に業務環境を取り入れることに難儀している方が確実に一定数いることが事実として表面化した一例です。

が、しかしこれは氷山の一角で、在宅勤務がうまくいっていない人は、行動を起こしていないだけでもっと多くいると考えています。

通勤圏内だけど遠方へ引っ越しする人が増える

環境のせいにして、甘えだと言われてしまえればそれまでなのですが、GW明けで緊急事態宣言が解除されるか確実な見通しも立っていない今、ワンルームの狭いスペースで仕事と私生活を送る日々がこれから先も続くのは精神衛生上確実によくありません。

そのためには、恒久的に仕事環境を整えられる間取り住居への引っ越しが必要だと考えています。具体的には、通勤圏内だけど家賃が比較的安価の東京都市部や神奈川千葉埼玉への引っ越しです。

「Afterコロナの世界をどう生きる」で、住空間へのプライオリティの高まりということが書かれていますが、より快適な自宅空間を選択する層が出てくるはずです。

実際に自宅をオフィス化するという動きは顕著に出てきていて、オフィス家具市場の規模が拡大しています。

「3月に入ってから、申し込みが殺到している」「もともとはオフィス向けを中心に事業を展開していたが、在宅勤務の導入に伴い『自宅を仕事場仕様にデザインするためオフィス家具を導入したい』という引き合いが強くなっている」

☞東洋経済オンライン |外出自粛なのに「オフィス家具」が売れる理由

ただ、これらの快適なオフィス家具も窮屈なワンルーム物件では、適切に活用できるとは言えません。だからこそ、私と同じように引っ越しを考えている人は少なくないはず。具体的には、ドアツードアで30分~1時間圏内で都心部のワンルームに住んでいる一人暮らしの方です。

多少通勤時間が長くなっても、会社に出社する回数が少ない場合はさほどストレスは大きくありません。何より、都心部の一人暮らし用ワンルーム6~8万円の家賃水準を出せば、市部で1LDKや2DK以上の広い間取りの選択もできるのです。

さいごに

私と同じ状況の人がどれくらいいるかは分かりませんが、ざっと計算してみたいと思います。

住民基本台帳(令和2年1月)によると、東京都区部に住んでいる30歳~39歳までの男性は合計で80万人ほど、これに少し前になりますが平成27年の内閣府の未婚率データを充てると独身男性は45万人いることになります。

このうち一人暮らしでワンルームに住んでいる人がどれだけいるかですが、少なく見積もって1割としても4.5万人で、私と同じように考えている人がうち1%とすると4,500人です。

家族がいる家庭でもこれを機に間取りの広い遠方への引っ越しを検討する人も出てくるでしょうから、実際には、これ以上の数が市部や埼玉神奈川千葉に流れていく可能性は十分にあります。

トレンドカテゴリの最新記事