宅建独学一発合格を目指して【前編】 ~準備から試験1週間前まで~

宅建独学一発合格を目指して【前編】 ~準備から試験1週間前まで~

先日10月18日(日)に宅地建物取引士(以下、宅建士という)の本試験を受験してきました。

資格を取得したのは10代の頃に危険物乙種第四類と運転免許証のみ。不動産に関してはズブの素人。

試験後の解答速報による自己採点の結果では、大手資格スクール各社の合格予想点の最高点を上回っているので、ほぼほぼ合格しているものと考えています。

今回は、初学者だった自分が勉強を始めるにあたり、「こんな情報がまとまっていたら…」「最初に教えてもらえていたら…」という自分が知りたかった情報を“準備から試験1週間まで”を前編、“試験1週間前から試験当日”を後編として、時系列で分けて書いていきます。

今年はコロナウイルスによる影響で2回に分けて試験が行われるという異例の年です。12月に本試験を控えているという方、また来年以降独学で宅建取得を目論んでいる方々に向けて少しでも参考になれば幸いです。

勉強開始は試験日の3か月前から

まずは、宅建資格の全体感の把握から始めました。これは、自分にあった試験勉強の大まかなスケジュールを策定するためで、資格の概要や毎年の受験人数、試験科目、点数配分、各年の合格ライン、独学合格に必要なテキスト類、勉強の進め方、やり方などをざっと調べました。

そして、本格的に試験勉強に着手したのは3か月前の7月中旬からです。

1年前や半年前から始める方も多いと言われていますが、性格的に試験期間まで猶予があると途中でダレてしまうのが明白でした。そのため、試験日を照準に合わせて、200~300時間と言われている学習時間の目安から逆算して、1日あたりの勉強時間をならした結果、3か月間という期間を定めました。

※この期間は、仕事や私生活の状況によるので一概には言えませんが、モチベーション維持管理の労力を考えると期間が長くなればなるほどスイッチのONOFFの切り替えが大変になると考えています。

勉強は参考テキスト、過去問集、Youtubeだけ

実際に行った勉強方法は以下の3つだけです。

参考テキスト』

参考テキストは全科目で5~600ページもありますので、通しで読んだのは勉強開始時と勉強開始後1ヵ月程度経過した時の2回だけ。

最初は流し読みで「こういうものがあるんだ」という世界観をざっくり認識するためで、2回目は過去問を進めていたタイミングで“ぼんやりと分かっている状態”がどの程度なのかを判定するためでした。 その後は、不明点や疑問点を解消する辞書として活用していました。


年度別&1問1答の過去問集』

テキストとは早々におさらばして、試験前の2か月間はほぼ過去問をずっと解いていきます。

過去問を周回していて実際に起こったのは、繰り返すことで番号や正解肢を覚えてしまって、どれが答えだったっけと思い出す作業になってしまうこと。これのやっかいなところは正解を答えるという資格取得試験に求められる結果が同じなので“やればやった分だけやれた気”になってしまいます。

しかし、過去問で正解することはまったく重要ではなく、“なぜその答えが正解なのか”、“その他の答えはなぜ不正解なのか”、が「答えられる」ことの方が大事です。

実際に試験では過去問とまったく同じ選択肢が出てきましたし、答えを覚えることが無駄とまでは言いませんが、同じ答えを問う問題であっても出題方法が多少いじられると面食らって思考がストップしてしまうことが十分に起こり得ます。


『Youtube』

試験前の残り1ヵ月前くらいからYoutubeをよく視聴していました。“読む”のと“聞く見る”のでは、まったく違う刺激を脳に与えることができます。

しかしながら、Youtubeだけの学習はおススメできません。なぜなら、綺麗にまとめられている情報なので理解できているようで理解できていない(応用が効かない)ことが多く、また、綺麗にまとめられているからこそ、スッと頭に入ってくるのですが、その分記憶から抜け落ちるのも早いです。

これには、テキストや過去問でバラバラのピースでも構わないので単語や概念などを頭に入れて、カオスの状態を事前に創り出しておくこと。その上で解説や講義を視聴するとバラバラだったピースが一つ一つ理路整然と頭の中ではまっていく感覚が得られます。Youtubeは、蓄積した知識の確認と整理に使うとより効果的です。

また、時折勉強するモチベーションが落ちてしまうことがありますが、そんな時はハードルが低い動画を見始めることからまず始める、というやる気スイッチとしての使い方もできます。

勉強の時に抑えていた3つのポイント

次に勉強を進める上で抑えていたポイントです。勉強を進めるうちに自然と行っていたことや、振り返りをしていて、これはもっと早くやっておくべきだったと後から反省した点です。

“几帳面さ”と“完璧を求める姿勢”は敵

当初から、テキストは順番どおりに最初から読む、年度別の過去問は50問を解いてから答え合わせをする、などという持ち前の几帳面さを発揮していたのですが、権利関係から始めると脳がショートしますし、鉄は熱いうちに打てと言いますから、問題文を読んで分からない、おかしい、と思ったところはすぐに解説やテキストを確認した方が理解も早く、記憶への定着も良いです。

また、物事には必ず優先順位が存在します。資格試験においては、問題の出題範囲や頻度といったものですが、仮に勉強範囲が同じで、毎年必ず1問4選択肢で出るものと、1問のうちの選択肢の1つとして出るものがあったら、どちらを優先して多くリソースを割くべきか、答えは論じるまでもありません。

ただでさえ、勉強範囲の広い資格ですから、二兎を追うものは一兎をも得ず。すべてを完璧にする必要はまったくなく、後回しにする勇気と場合によっては“特定の分野を捨てる英断”も必要です。

初学者こそ特に、どこにどれくらい注力するかをしっかりと見極めるべきなのです。

“定義”と“目的”を前提知識として理解する

勉強を進めていく中で、おそらく誰もがぶつかる壁として許可や届け出の要否の判定があります。これは登場人物であったり、規模、時系列によって要否が変わるところがとてもやっかいです。

これには、その規制や法律が誰の何のためのものなのか、設置目的を前提知識として押さえておくと、後に出てくるたくさんの数字と各論の理解レベルが格段に違ってきます。

例えば、農地法の許可と都市計画法における開発許可ですが、区域を絡めた問題で、この二つをごっちゃにして混乱してしまったことがあります。何を当たり前のことかと思われるかもしれませんが、農地法は農地をなるべく残したいという目的があり、開発許可は土地を好き勝手に掘り返されると困る場所があるからです。

意外とこれらの前提をスルーして、その先の数字や建築物の種別など細かい枝葉の方を覚えようとしてしまう方は多いのではないでしょうか。私がそうでした。

言葉ではなく視覚情報”でイメージする

不動産業界でない人は特に聞きなれない言葉ばかり出てくるので、半ば無理やりこれは“こういうものだ”と思い込むようにして覚えますが、文章や言葉だけで覚えておくと難解な言い回し、見覚えのない単語による揺さぶりや単純な引っ掛けに騙されてしまいます。何より記憶に定着しにくく、断片的に覚えたものはすぐに頭からぽろぽろと零れ落ちていきます。

これには、言葉ではなくシュチュエーションや登場人物、時系列といったものの“情景をイメージすること”が非常に有効です。問題文を読む時、答えを探す時は文字情報ではなく、視覚的なイメージ画像を頭に思い浮かべるのです。

例えば、都市計画法における区域や用途用地を考えてみますが、数多くある種別とその種別を言葉だけで覚えるのは容易ではありません。そこで、自宅や職場の近隣、最寄り駅など街並みを具体的に思い浮かべることができる場所と用途地域を繋げてみるとイメージがしやすくなります。

実はこの用途用地は簡単に調べることができます。

用途地域マップ ☞ https://cityzone.mapexpert.net/

何より自分の知っている街並みとその用途地域を結び付けることができれば、簡単には忘れません。興味のない、不必要な情報をいかに自分事として捉えるかという点が重要です。


試験の1週間前まではとにかくこれらを継続して行うことを心掛けていました。

宅建独学一発合格を目指して【後編】につづく

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