4月14日時点で、世界の新型コロナウイルスによる死者数は11万9,588人に増加、死者数と感染者数が最も多い国は米国で、2万3604人が死亡、58万6057人の感染が確認されている。
このような世界中の感染者と死者数増加の話題が連日連夜報道されていて、日本国内においても中小企業の資金繰りや雇用の問題、飲食店などサービス業の経営難やコロナ関連倒産について、テレビを始めとするメディアで多く取り上げられています。そんな現在の日本の心理状態を表している興味深い記事がありました。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ツイッター上で「疲」や「ストレス」などを含む投稿が増加していることが、東京大の鳥海不二夫准教授(計算社会科学)の調査でわかった。新型コロナの感染が中国で拡大しつつあった1月中旬以降の約2900万件の「つぶやき」を解析した。
新型コロナ関連の投稿のうち「疲」が含まれていたのは、3月20日には1日約3600件だったが、小池百合子東京都知事が緊急記者会見で「感染爆発の重大局面」と発表した25日以降急増し、安倍首相が緊急事態宣言を発令した4月7日には3倍以上の約1万2000件に達した。
読売新聞オンラインより引用☞https://www.yomiuri.co.jp/national/20200411-OYT1T50162/
これらの話題ですが、自分自身に直接的、または間接的に近く影響を及ぼす経済圏の情勢、ウイルスの感染予防の観点から知っておくべき重要な情報ももちろん含まれていますが、そのほとんどは関係がないもので構成されています。
しかしながら、毎日新型コロナに関連する不平や不満の声やネガティブな話題を目にしていると、知らず知らずのうちに精神が疲弊してしまうことが事実として起こっています。
ネガティブが人にもたらす影響は絶大である
人間の脳というのは、悪い物事に意識が向くように設計されています。これは動物として生存競争に勝ち抜くためで、極端に言うと死の危険から避けるための生理的な行動です。
情報を伝達するメディアは、人間の脳のこの性質を理解した上で事実をうまくパッケージして伝えています。ニュースメディアの狙いは、読者や視聴者をよりたくさん呼び込むこと。そのため、より悲観的だったり、批判的に伝えたほうが、人の目を引くこと(=メリットや利益)に繋がります。
ここで問題なのは、それらのネガティブにパッケージされた情報は、感染症と同じように感情という形に変化して人から人へ伝播していきます。
ご存じの方も多いと思いますが、マサチューセッツ工科大学の2003年の論文で、「ネガティブはポジティブな感情の7倍感染力が強い」と言われています。また、ネガティブな感情に晒されると脳の機能(情報処理能力)が低下するという結果まであります。
※メンタリストDAIGOさんブログでより細かく記載がありますので、興味ある方はぜひそちらも参照ください。記事リンク☞Mentalist DaiGo Official Blog
コロナ疲れの正体は予測と統制ができないストレス
人のストレスは、大きく分けて2種類に分かれます。心理学的な言葉で、予測不可能性と統制不可能性です。簡単に言うと、「先が分からないこと」「自分でコントロールできないこと」です。
価値観の違い、そのストレスの元となる対象物や出来事の大小に個人差はあれど、この2つは人が誰もが抱えるストレスの本質的な要素です。そして、コロナウイルスによる今の状況というのは、まさにこれに当てはまることだと言えます。
・目に見えないウイルスの脅威はいつ収束するでしょうか。
・落ち込んだ日本の経済はいつ元通りに戻るでしょうか。
これらは感染症の専門家や経済学者の中でも議論が分かれるところで、明確な答えは誰にも分かりません。
もちろん一人一人の責任ある行動が感染抑止に繋がることは言うまでもありませんが、このような状況下で毎日ネガティブな情報に晒され続けてしまうと、どれだけ心身ともに健康な人であっても日に日に気分が落ち込んでいってしまいます。それほど、ネガティブは心に暗い影を落とすのです。
毎日暗いネガティブな話題ばかり見聞きすると無意識に、でも少しづつ、着実に、必ず精神に影響を及ぼしていきます。そんな中で我々に何ができるか、それはいつまで続くか分からない「コロナ疲れ」を積極的に、可能な限り回避していくことです。
ストレス回避の具体的4つのアクション
コロナ疲れを回避するには、ネガティブな情報に触れる機会をなるべく減らすこと、また、ストレスの要素となる予測不可能性と統制不可能性を排除することです。具体的なアクションを4つご紹介します。
コントロールできない受動ストレスを軽減する
どの情報を取得するかは、自分で選択ができます。今現在世の中で出回っている多くの不平不満の声は、不要不急な情報です。
- テレビやSNSを見ない時間を作る
- ネガティブな人との接触を避ける
- 悲観的、批判的な発言を繰り返す人をSNSのフォローから外す、ミュートにする
家の中を片付ける
家の中を掃除は、「生産的な行動であること」と「自分の行動を管理できること」が自己効力感を高める効果があります。予測不可能性の逆で、掃除には予測可能性があり、物事や自分をコントロールできているという感覚を与えてくれます(片付けをした結果、部屋が綺麗になる)。
やることを決める
何もしない退屈な時間ができると、不安を感じたり、考え込んでしまう原因になります。本を読むでも、映画を見るでも、仕事をするでも、運動をする、ご飯を食べる。なんでもいいので1日の予定を作りましょう。
適度に体を動かす
軽度な運動はセロトニンの分泌を高めることが分かっています。「セロトニン」は神経伝達物質で、精神を安定させ、ストレスを軽減させる働きがあります。※幸せホルモンとも呼ばれています。
また、日光を浴びることでも効果があります。不要不急の外出自粛要請が出されている状況ではありますが、健康維持のために3密を避けて散歩をすることは制限されていません。家にこもりっきりで感染対策は万全だったけど、健康を害してしまった。なんてなってしまっては本末転倒です。
さいごに
私が一番恐れているのは、この状況が長続きすることで、無力感に苛まれ、「無気力になってしまう人が増えること」
経済の立て直しは後でどうにでもなります。しかし、立ち直れないほどに心がボキボキに折れた人ばかりの社会になってしまっては、今後の日本経済が立ち行かなくなります。当たり前の話ですが、国家も会社も人によって成り立っており、人の心や感情を原動力に動いているからです。
先のことや日本がこれからどうなるかは分かりませんが、今日と明日くらいの自分の生き方は自分で選択して決めることができます。忌野清志郎さんもこんなことを言っています。
「今日と明日と明後日のことぐらいを考えていればいいんだよ。」