セールス効果の高いコピーライティングと低いコピーライティング、プロが作るコピーライティングと素人が作るコピーライティングの違い。
それは一重に「消費者目線になっているかどうか」という点に尽きる。
なんだそんなことかと思われるかもしれないが、これがなかなかに難しい。
特にサービスや商品を開発した当事者であったり、その商材に長く関わり過ぎてしまったりすると、再びそれを使う側、“消費者”の目線に立ち返るのには、そこそこの知識と鍛錬が要る。
しかし逆に言えば、コツを覚えてしまえば、誰でも効果的なコピーライティングをする事ができる。
コピーライティングはIQを落として語彙を選ぶ
広告や出版の業界では昔から、コピーライティングに用いる語彙は小学5年生の読本から選べと言われている。
個人的にはもっと簡単な単語に限定してしまっても良いと思っているが、これは別に消費者を馬鹿にしているわけではない。
アメリカの広告業界で58年という長きにわたり活躍し、伝説とまで評されたジョン・ケープルズというコピーライターがいる。
ケープルズは広告を科学的に分析しながら、レスポンスが上下する原因を追求していたのだが、その極意の中で次のように語っている。
どれだけ高等教育を受けた読者でも、広告を見るときは注意力もなければ頭を使う気もない。彼らの知能のほんの少ししか広告に向けられない。これは子供の知能と同じレベルである。だからコピーはわかりやすくなくてはならない。
つまりコピーを目にした時、人はそれにほとんど集中力を割いていない。
更に言えば、読もうとさえしてない。
疲れて帰ってきてぼんやりしているかもしれないし、待ち合わせに遅れそうで急いでいる道すがらかもしれないので当然と言えば当然だ。
自分が広告に向き合っているシチュエーションを想像してもらえればわかる通り、コピーとは少なくとも面と向かってじっくりと読まれるモノではないのだ。
必ず消費者の興味にフォーカスする
開発者は伝えたいことがたくさんある。開発にかけた想いであったり、要した技術もしかり、それを己が専門性で難しい言葉で語りたがる。
それはもちろん一概に悪いことではない。
消費者もあるいは興味を見出したのち、そういった知識が購入の手助けになるかもしれない。いや、知識を厚くすればするほど購買意欲が上がると言うデータは存在する。段階を間違えなければ、その「たくさんある伝えたいこと」は必ず役に立つ。
しかし、まず初対面でアピールすべきことはなんでだろうか。この視点を抜かしてはいけない。いきなりIQの高い語彙でまくしたてても、誰も興味を示さない。
コピーライティングのプロが何故にプロなのかと言うと、この初対面時のコミュニケーションにコミットできるスキルを有しているがため、というのが最も大きな所以であると私は思う。
「伝えたい」ベースで言葉を選んではダメ。コピーライティングは必ず消費者の興味にフォーカスしなければならない。
消費者の興味に寄り添うためにとるべき方策は主に二つある。
一つは「ベネフィット」、もう一つは「ペイン」だ。
ベネフィットとは読んで字のごとく、消費者が得られる「利益」のこと。得られる利益を明確にすることで、消費者はその先を読み進めるメリットについて直感的に理解することができる。
ペインは「痛み」。消費者が抱えている不満や悩みといったネガティブな感情訴えかけることで、共感を得る。状況やニーズを掴む必要があるが、核を射てしまえばこれほど気を引ける手立ては他にない。
コツさえ掴めば誰でも書ける
何度も言うが、消費者はコピーを目にする時、ほとんど集中力を割いていない。
その集中力レベルは、ケープルズ曰く子供の知能と同程度だと言う。
だからこそコピーライティングは、極力わかりやすく且つ直感的で、消費者の興味に寄り添った表現でなくてはならない。
そしてそれは、必ずしも情緒的で美しい言葉選びである必要はない。ブランディングやイメージ広告ならいざ知らず、セールスで活用するコピーに美しさはさして重要ではない。なんなら、多少泥臭い方が心に刺さるケースさえ少なくない。
コツを知り、わかりやすい言葉に翻訳する術を習得することで、素人でもプロの様な「伝わる」コピーライティングを実現することは可能だ。ぜひ実践してみてほしい。