映像研には手を出すな!に学ぶ、理想と現実の埋め方

映像研には手を出すな!に学ぶ、理想と現実の埋め方

つい最近のことですが、映像研には手を出すな!というアニメが非常に刺さりまして、2日立て続けで全話一気に見てしまいました。

原作は月刊!スピリッツで連載している漫画で、内容はというと、女子高生3人のアニメ制作活動を描くストーリー作品。アニメは、2020年1月6日から3月23日までNHK総合にて放送されていて、つい先週に全12話が完了、なにやら来週からは実写ドラマ化が始まり、5月には劇場公開まで決まっているようです。すごい反響があるようです。

本作品は、アニメ制作の作り手が抱える「理想と現実のギャップ」「モノづくりの楽しさ」が描かれているのですが、これはアニメーションの制作現場に限らず、クリエイターやディレクター、プロデューサーといった制作の担い手である、それぞれの立場にいる大人が共感できる話になっています。

アニメ先行で漫画はまだ読めてないのですが、1制作に携わる人間として、本作品の面白さを掻い摘んで書いていきます。

大まかなあらすじなどざっくり紹介

アニメを作ることに人並み外れた情熱を持っている内気でコミュ障の浅草みどり、そんな浅草と中学校から付き合いがある金森さやかが、カリスマ読者モデルでアニメーター志望の水崎ツバメと出会うところから物語が始まります。

アニメは全12話。その作中で計3つのアニメーション作品を制作します。

アニメの中でアニメを制作する過程を描いて、アニメの中でそのアニメを上映するのです(アニメの中でアニメの世界観を創り出すメタ的な表現が非常に面白いです)。

全体の構成としては、大きく3つに分かれています。

映像研の設立(1~4話)
文化祭上映アニメ制作(5~8話)
自主制作即売会の出展(9~12話)

この作品のテーマを一言で表すとしたら、「新たな世界への挑戦」です。

3作品のアニメ制作を通して、「生徒会」「学校」「社会」の壁が立ちはだかります。いうなればそれらの壁はルールや既存の枠組みといった固定概念であり、それらの障害に仲間とともに立ち向かい、自分たちの生きる世界を広げていく物語なのです。

ちなみにアニメ制作を取り上げているアニメで「SHIROBAKO」という作品があります。こちらはアニメスタジオを舞台にしていて、モノづくりの現場が抱える苦悩や困難、それを乗り越えたときの喜びや達成感が同じように描かれていますが、アニメ制作を取り巻く業界の内情、社内の人間関係あるあるなど、アニメ業界の社会をよりリアルに投影しています(数年前の記憶でかなりうる覚えですが)。

一方、本作品は高校生が主人公ということもあって、アニメ制作に掛ける「夢」「希望」「挑戦」といった若々しさの印象を受けました。かと言ってレベルが低いわけでは決してありません。

むしろ、人が誰しも抱える「理想と現実とどう折り合いをつけるか」という普遍的な問いに極めてシンプルな答えを提示しています。

ちょっと脱線しますが、メインヒロインである浅草みどりは設定へのこだわりが強く、空想とはいえ発案した機械や設定が現実に成立しうるかどうか、という点を非常に重視しています(※ドラえもんの秘密道具の紹介を模したといわれるポップな図解イメージが可愛らしい)。外に向けて、世界を広げていくという物語の大きな構造と設定のこだわりというのは、進撃の巨人と共通しているなと感じました(※単行本で機械類の細かい設定を明かしたり、立体起動装置は理系の友人に相談したとも語っています)。

本作品の見どころは金森さんの進行管理能力

作中では関係各所との多くの摩擦、様々な問題が発生します。

  • 細かい動作にこだわりすぎてしまい、進行が遅れる。
  • 指示が曖昧だったため無駄な修正工数がかかる。
  • 完パケ直前に素材のミスが発覚する。
  • 出来上がりのクオリティに満足がいかず作り直す。

そんなトラブルを、どうにかこうにかで、なんとかする金森さんがめちゃくちゃ優秀なのです。

相手を尊重しながらも客観的に分かりやすく、論理的に、かつ理路整然と。ゴールと目的達成に向けて最善の道を探りながら、適切な軌道修正で仲間を導く彼女のマネジメント術は見習うべき要素がたくさん含まれています。

理想と現実の差を埋めるには…

理想と現実とどう折り合いをつけるか、それは「改善の繰り返し」です。

印象的なシーンがあって、それは、アニメーションの本番上映が終わる区切り回のラストに3人で感想を言い合うシーンです。

「繋ぎが悪かった」「もっとあそこをこうすればよかった」「こういう見せ方もありだよね」「あれが出来ていなかった」「やり残しが8割だ」「やりたいことを全部やることを目指そう」

次に向かうために振り返って改善点を洗い出すのです。

挑戦することをせず、出来ない言い訳をして、同じ過ちを繰り返せば、理想と現実の差は埋まるどころか更に広がるばかり。それが「改善の余地しかない」と考えてみるとどうでしょう、すべてがポジティブに考えていけるような気がしないでしょうか。

つい先週末には不要不急な外出の自粛要請があったり、コロナウイルスによる影響で家の中で過ごすことが多くなってきています。

この機会にアニメを観てみるというのも選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。

「映像研には手を出すな!」PV 第3弾

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