受け手が喜ぶ『伝え方の極意』

受け手が喜ぶ『伝え方の極意』

「口は禍の元」ということわざがありますが、頭に思い浮かんだことを考えるよりも先にペラペラと口に出てしまうタイプの人ってよくいると思います。

私もどちらかというとそちら側のタイプで、口に出した途端「あっ…これ言わなきゃよかった」と反省したり、帰りに歩いている最中、家に帰ってから「なんであのタイミングで…」と後悔することがしばしばあります。

また、これは気にし過ぎなのかも…とも思いますが、仕事のメールやメッセージのやり取りで何度も文章を打っては直しを繰り返し、送信してから「あの伝え方で大丈夫だったかな…」「嫌な言い方じゃなかったかな…」と心配になってしまうことも。(※これ、心配性の人はこの気持ち分かってもらえると思います。笑)

一方で、そんな心配をよそに受け手側はそんな風に受け取ることは全然なく、取り越し苦労で気にしなくて良かった。なんてことは言うまでもありません。

「口は禍の元」言い換えると伝え方次第でマイナスをプラスの方向に変えることができるということでもあります。長年の営業経験で培った伝え方の極意を少しまとめて紹介していきます。

相手に対する愛がどれくらいあるかで表現が変わる

大学生時代にリクルートでインターンをしていた経験から、学生ながらに仕事を円滑に進めるためには、相手の立場に立って物事を考えるということが大事だと考えるようになり、その思考は社会人になってからも実践をしてきました。

新卒で入社した会社はコールセンター業務を受託するBPO企業で、1~2年は修行のようにスーパーバイザーという役割でクレーム対応に明け暮れました。

今でこそ、嫌がらせのような悪質なもの、正当性がない主張は拒否できる時代になっている(お客様は必ずしも神様ではない)と思いますが、当時の上席対応と呼ばれるものはまさに過酷そのものでした。

長時間に渡ることもあるクレーム対応ですが、「相手を納得させるためには何が必要か」というと、相手の求めているコト(モノ)を適確にキャッチして、適確なタイミングにそれを差し出すということ。

これは「相手の状況をどれだけ想像するか」で「されたら嬉しいと思うだろう」「喜んでいる姿」を意識的に想像することが、伝え方を変える第一歩だと言えます。

今の私の伝え方は、学生時代の「相手の立場に立って物事を考える」という思考と、新入社員時代の「相手の状況を想像する」という体験の2つによって、構築されたのだと考えています。

つまりこれって、愛と同じじゃないでしょうか。

損失回避とメリットで伝え方を変える

では、具体的にどのような伝え方を心掛けているのか、具体例とともに紹介していきます。「相手の損失を回避する」または、「相手のメリットを考えて伝える」という点にあります。

納期を早めてほしいといわれた場合

「決して不可能ではありませんが、企画制作の時間が決して十分と考えていません。日を跨ぐことで振り返りや見直し、内容のブラッシュアップができてより良い〇〇になります。」

  • 納期を優先させるためには何かが犠牲になる、その分クオリティが下がってしまうリスクを伝える。
  • より良いご提案と成果物を納品するための納期設定であることを伝える。

短い納期で仕事を相談された場合

「トップページだけであれば、公開は間に合います。がそれだとやる意味がないと考えます。まったく別のアプローチですが、LPであれば今から着手すればギリギリ間に合いそうです。いかがでしょうか。」

  • 頭ごなしに「できない」とは伝えない。
  • 別の選択肢がないかを考えて提案する。選択肢を増やす。

どんなに達成が不可能な内容であっても、理不尽な相談であっても、一旦受け止めて考えてみるというのが非常に大切です。

(そもそもあまりに無理なお願いはしないですが)もし、自分が制作を依頼する立場であったら、ただできませんと言われるより、上記のような回答がもらえた方が嬉しいですし、皆さんもきっと同じように思うはず。

相手の損失を回避する、または、相手のメリットを意識的に考えて伝えることは、色々なところで応用が効きます。もしかするとこうした対応が自社の差別化につながることもあるかもしれません。

デジタルの感情表現は思った倍以上で

「デザインでターゲットを決めなければいけないワケ」という記事でも書いてありますが、人の行動は思っているよりずっと感情で動いています。それはデジタルのやり取りであっても同じことが言えます。

ここ数年、ビジネスの場において、メールでなくメッセンジャーやチャットツールでやり取りをする機会がとても増えています。

顔も見たことも話したこともない相手なら、「お世話になっております。この度は~です。」なんて、無難に定型のメッセージを送ることもありますが、そうでない相手にはデジタルの文字だからこそ、より感情や思いが乗った温かさが必要です。

親しき中にも礼儀ありですから、大前提として、あまりに礼を欠く言葉遣いは当然許されませんが、相手への喜びや驚き、感情表現は思った倍で書くというのがおススメです。

自分の感覚をどこまで信用するかはさておき、されたら嬉しいと思うことを相手にも提供するというのもあって良いんじゃないでしょうか。

さいごに

唐突ですが、「伝え方が9割」という本。めちゃくちゃ売れてる本なんですが、より実生活で使えるお手ごろなスキルがまとまっていて、とても面白かったです。

押しつけや一方的な関係ではなく、良好な関係を結ぶには血の通ったコミュニケーションが大事です。ご興味がある方は、ぜひそちらも見てみてください。

読んだ次の日から伝え方がなにか変わっているかもしれません。

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