これから宅建の登録実務講習を受けようとしている方へ

これから宅建の登録実務講習を受けようとしている方へ

登録実務講習とは、「宅地建物取引に関する実務経験が2年に満たない人でも宅建士の登録を受けられるようにする講習のこと」で、この登録実務講習を修了することで「2年以上の実務経験を有する者と同等以上の能力を有する者」と認められ、宅地建物取引士資格の登録申請を行うことができます。

つい先日これを受講してきたのですが、事前にインターネットで調べてもあまり参考になる情報が少なく、多少なりとも不安を抱えながら当日を迎えました。そこで、今回はこれから登録実務講習を受けようと考えている方に向けて、申込前に私自身が気になっていた”4つの疑問”について書いていきます。

登録実務講習はどこで受ければいいの?

宅建に合格すると合格通知や宅建士登録案内とともに登録実務講習実施機関一覧という紙が送られてきます。

国交省のホームページ(リンクはこちら)でも見ることができますが、全国に18機関あります。

気になる講習代ですが、早割などの割引で安価なところだと13,000円~、高いところで27,000円ほどいわゆる大手の資格学校はほとんど横並びで20,000円前後です。

いずれも国土交通大臣の登録を受けた講習機関が実施しているため、カリキュラム自体はほとんど同じ。全体の大まかなスケジュールとしては1ヵ月程度の事前学習と6時間×2日間の講習参加+修了試験といったものです。※2日間を1日にまとめた講習を提供しているところもあります。

この講習は遠隔やインターネットのWEB講義は認めていられなく、対面での講義が必須。1開催あたりの参加人数は機関や教室スペースにもよるところがあるようですが、今回、私が参加した会の人数は15名ほど。コロナウイルスの影響もあるようで以前は50名以上で行うこともあったと講師の方が仰っていました。

価格を安く提供しているところは開催日程が少なかったり、開催地が都心部の1~2か所しかないということがあります(=参加人数が多くなる傾向があるかもしれません)。カリキュラムは基本的にどこも同じですから、安かろう悪かろうというより、開催日程の都合が合う、自身がアクセスしやすい場所を選択するのが良いでしょう。

事前学習をしないと修了試験に合格できない?

結論から言いますが、修了試験は事前学習をしなくても合格できます。

重要なポイントは2つで、遅刻をしないことと講師が言うポイントにマーカーを引く。たったこれだけです。講習をきちんと受けていれば合格できるように構成されており、予定調和で進行します。

講習機関によっては問題数などに違いがありますが、 私が受講した講習の修了テストは一問一答の○×問題と書類の穴埋め記述でした。 講習を受ける際には、マーカーと付箋を必ず持っていきましょう。 講習で使ったテキスト類の持込が可能です。マーカーを引いたページをすぐに開けるようにするために付箋が活躍します。※講習の参加と講習の最後に行われる修了試験に合格をすることで宅建士登録に必要となる修了書を発行してもらえます。

講習の内容と当日の流れはどうなってるの?

講義の内容は不動産売買仲介業の業務フローのシナリオを元に進行していきます。大まかな流れは、以下のとおりです。

<<<業務フロー>>>
▼不動産売買相談受付
 └要件ヒアリング
物件調査
 └公簿調査
 └権利関係、登記簿
 └現地調査、法令上の制限
 └価格査定
▼媒介契約
 └不動産広告
 └資金計画
▼売買契約の締結
 └重要事項説明
▼決済
 └物件引き渡し
 └トラブル
 └契約不適合責任

これらを2日間に分けて、1コマ1時間~1.5時間で合間に休憩を挟みながら講義を受けていきます。実務講習というくらいですから、実際に不動産の売買仲介業者がどのような業務を行っているか、というのがつまびらかになります。

修了試験の合格を目的とする場合であれば事前学習は必ずしも必要ありませんが、不動産会社への転職やキャリアアップ等を考えている人であれば、テキストを一通り読み流してみて理解できないところを予めまとめておく、ということくらいはやって損はないです。

受講した率直な印象ですが、登録実務講習は、修了テストに合格するための講義という意味合いが強いです。つまり、数百ページあるテキスト資料は、ところどころスキップしながら要点のみ(修了テストの出題問題)を抑えていくというスタイルで、全てを手取り足取り解説してもらえるわけではありません。

大人になればなるほど誰かに直接教えてもらう機会は減ってきますし、それなりに対価を支払っているので、せっかくなら不動産業界や実務に纏わる興味、関心事を積極的に聞いていくスタンスで臨んでみても良いでしょう。

講師によって、アタリハズレはある?

今回、受講した講習会の講師は、外部講師で普段は不動産会社に籍を置いている方でしたが、話がとても分かりやすく、面白かったです。

お客さん役、営業役など一人何役もこなしながら、様々なシュチュエーションを寸劇っぽく表現していたりと、まるで落語を聴いているかのような、ただ聞くだけの完全受け身の講義とは違って飽きさせない、寝させない工夫がふんだんに盛り込まれていました。

不動産業界に20年以上身を置いている現役の方でしたから、ところどころ差し込まれるやっちゃったエピソードは妙にリアルで「ふむふむ…」「なるほど…」と大変興味深く話を聞くことができました。

私個人は非常に満足でしたが、講師によっては、アタリハズレがあるようです。やはり、同じ講習機関であっても講師のスタイルに違いがあり、運転免許証更新講習のような淡々と読み聞かせる方、1から10まで細かくきちんとやらないと気が済まない方、また、今回の私のような少し雑っぽいけど、落語や漫談形式で面白可笑しく話をする方まで様々いるそうです。

これに限ってはただ淡々と話を聞くだけが良いと思う人もいますし、相性次第。そもそも予約時にどのような講師がアサインされるかは当日行くまで分かりません。完全に運です。

ただ、講習機関によっても、講師によっても講義のスタイルが違うんだということを事前に心構えをしておければ、仮に好みではない講師に当たった場合でもたったの2日間ですから、たまたま運が悪かったと思って乗り切れるのではないでしょうか。

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