勉強ができない人のための勉強の仕組み作り

勉強ができない人のための勉強の仕組み作り

今現在、とある資格の取得にあたって、毎日勉強をしているのですが、これまで受験や試験勉強というものを避けてきた人間にとって、計画的な勉強習慣を日常に取り入れることは大変難しいことだと考えていました。

なにせ、学生時代の夏休みの宿題は最後の最後まで持ち越して、終盤にヒーヒー言いながら最後に帳尻を合わせるタイプでしたし、社会人になってから業務管理や人のマネジメントに関しては、実績や一定の評価はしてもらえていたものの、いざ自分のコトとかなり計画性のなさが露呈する、まさに医者の不養生的な側面があることを長年の(自分との)付き合いで理解していたから。

ただ、そんな人間でも大人になって経験や知見を積む過程を得て、自分の性格や人間性を理解した上で、効果的に勉強をする仕組みを作ることができるということが最近分かりました。結論から言うと全体把握→目標・計画策定→遂行の3つです。

これまで勉強が習慣として身に付いている方や大学受験など人生を大きく左右する場面で成果を出した方にとっては何を今更と思われるかもしれませんが、学生さんのみならず、仕事や業務上で勉強を擁する社会人にとって、やる気が中々出ない。進まないという課題感を持っている人は私含めて実は意外と多いのではないかと考えています。そこで今回は、勉強を苦手としていた自分が行った“勉強の仕組み作り”について、書いていきたいと思います。

目標と計画を策定するためにまずは全体感の把握

試験であれば合格が、夏休みの宿題であれば始業式までに課題のすべてを終わらせることが目的にあたりますが、ここではその目的を達成するための手段となり得る、目標と計画作りをする更に前段階の話です。

夏休みの宿題を例にとると、その宿題の内容は計算ドリルや読書感想文、自由研究や課題プリントなどがあると思います。試験であれば、科目や設問の種別、それらの点数配分などがあるでしょうか。当然のことながら、内容が違えば、得手不得手もありますし、習得するために必要な時間や期間といった性質が変わるものになります。

全体感の把握には、計画や目標を設定する上で“自分が”押さえておかないといけないポイントがどこかを想定することにあります。言うなればベクトルを決めること。

ベクトルという言葉はビジネスにおいて、方針や方向性を指す言葉としてよく使われますが、厳密にはその方向を指し示す力の強さも表します。つまり、計画を絵にかいた餅にしないため、明確な目的に対して、努力する方向とそこに向ける力の配分を見極めるためにまず全体を把握することが重要なポイントになるのです。

緩々で構わないので実現可能な目標と計画を立てる

全体像が掴めたら次に目標と計画を立てます。

ここで重要なのは、①実現可能な目標を設定すること(1日毎に細分化して落とし込み)と②結果の記録をつけること、です。

目標は、〇分、テキスト〇ページ、問題集〇問といった数字が伴った具体的な値を設定するのがベターです。間違っても、最初から1日3時間勉強するなどと目標値を高く設定しすぎないことです。

前述した全体感の把握で「何に、どのくらい」という想定がある程度できたことと思いますので、あとは期間や期日に応じて必要な学習時間を時間割を作る要領で割り振っていけば暫定的でも見通しは立てられるはずです。

更にその上で重要なのは、予定に対する実績の記録を定点で取ること。目標に対する結果の入力なので、ページ数や時間数だったり、最悪その目標をその日に達成できたか、できなかったかのチェックだけでも大丈夫です。

イギリスのシェフィールド大学が発表したメタ分析の研究で、1万9,951名を対象に進捗を何らかの形で記録を残すことと目標達成率に相関があるかを調査しました。結果、統計的な効果量で目標達成率が上がるということが分かっています。

自分がどれだけ目標を実践できたのかを成果として残していくことで、ゴールまでの進捗を客観的に振り返り、評価することができるので、モチベーションを維持、向上させられるのです。

計画どおりに遂行させるためにやるべき2つのこと

次に計画どおりに中々進まない、やろうと思っても気分が乗らないことがあると思いますが、そんな状況の時に覚えておいていただきたいことを2つお伝えします。

兎にも角にもまずは手を動かすことから

人は惰性で行動する動物で、やる気というものはどこからか勝手に湧いて出てくるものではありません。やらないからやれない、やらないうちはずっとやらないので、そんな時にやる気が出るのを待っていても仕方ないのです。

机の上をちょっと片付けし始めたら、いつの間にかシンクやガスレンジ周り、トイレなど部屋中をガッツリ掃除してしまったことってないでしょうか。

人のやる気は、脳の側坐核という部位から分泌されるドーパミンと深い関係があることが分かっています。この側坐核がドーパミンを分泌している状態こそが「やる気」の正体なのですが、当然ながら、何もしていないときにはドーパミンを出しません。

では、どうしたらいいか、それは行動を実際に起こして脳に刺激を与えてあげることです。勉強を始める前に達成が容易な行動のハードルを設けておくとより導入がスムーズになります。例えば以下のようなものです。

  • 予定を立てた今日の目標値を確認する
  • タイマーを設定する
  • テキストを開く
  • まず2ページ読む

とりあえずやる。あと、やる前にまずやることを決めておく。これだけで自分のやる気スイッチを自由自在に操作できるようになります。

具体的に“未来”をイメージする

行動の意欲を掻き立てる方法をもう一つご紹介します。それは未来を想像すること。当初立てた計画どおりに進まなかったり、思ったようにできなかったとき、つまり現実と理想の間でギャップが生じた際にやらない言い訳をして途中で諦めてしまうことがあるかもしれません(私が実際によくありました)。

うまくいかないときは往々にして視野が狭まっているものです。

未来といっても10年後や20年後ではありません、その設定した目的の結末を想像するのです。試験に合格した場合に自分はどのような状況になっているか、はたまたどんな感情になっているだろうか。それとは逆に失敗してしまった場合、夏休みが終わりそうなのに宿題が全然片付いていなかったら、どんな状況で、どんな気持ちで始業式を迎えているだろうか。と。

もう一歩さらに視点を変えて、その時の自分が今の自分を見たらどう思うだろうか、そして、未来の自分は今の自分に何と言葉を掛けるだろうか。

これらの未来の想像と自らへの問い掛けが、目標を達成するために必要な行動の実践を妨げている障壁を明らかにします。例えば、無意識下における考え方、行動、習慣、思い込みといったものです。

勉強も仕事も、反省と改善を繰り返すことで目的を達成できるという点では同じで、やらなかったら何も始まりません。まずは仕組みを作ることから始めてみてはいかがでしょうか。

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