2020年、締めのご挨拶

2020年、締めのご挨拶

当社ブログをご覧の皆様、おはようございます。

ズーム代表取締役社長の長谷川です。

年の瀬に際しまして、本年のブログ更新も本日で最後となりましたため、締めのご挨拶とさせて頂こうかと思います。短くない文章になってしまうかとは思いますが、最後までお付き合いいただけましたら幸いです。



早速ですが、元号が令和へと変わり二年目となる2020年。

この一年を振り返るにあたり避けては通れない話題といえば、現在もその猛威を振るい続ける『新型コロナウイルスの蔓延』という大事件になるかと思います。

世界累計の死亡者数は175万人、感染者数は世界人口の10%を上回る、未曾有のパンデミック。これを水際で対策する政府機関の方々、瀬戸際を守護する医療従事者の方々には、感謝と尊敬の念ばかりが募ります。私にはもう下げる頭もありません。そんな思いです。

この猛威の影響は、公私に渡って我々の生活に多大な変化を強要しました。

外出自粛はもとより、外に出るときにはマスクを着用し、ことある毎に手を消毒。ビジネスの現場に関しても、打ち合わせはオンラインに、勤務形態すら在宅という概念が広まり、今までとは異なる業務の進め方、事業の設計が求められるようになりました。

当社ズームも例に漏れず、可能な限りの在宅勤務や、出勤するにしても大幅に時間をズラし、打ち合わせも避けられない場合を除いてオンラインで行うようになっています。

これ以外にも、種々様々な社会的変容を及ぼした『新型コロナウイルス』の影響は、単なる感染症という枠組みを超えた、我々人類にとってのターニングポイントなのではないかと思わされることすらあります。



今年は、本当に考える時間の多い一年でした。

当然ながら、外出自粛や出勤制限で一人でいる時間が増えたということもあります。しかしそれ以上に、このような大局的な変化に際し、それに相対する姿勢や思考⏤⏤それをも超えた思想や在り方までをも、どう変容させるべきか、そういった深いレベルでの問いが、そうさせたのだと思います。

恐らく多くの方々、特に会社経営に携わる方々にとっては、同じような意味合いの一年だったのではないでしょうか。

そういった意味では、今年は学びと学習の年だったのかもしれません。

もちろん、今もこれからも、現状の維持改善に勤める⏤⏤歪に積み上がったジェンガのような状態を決して崩すまいと命を削っておられる方々を前に、楽観ばかりはしていられません。

けれど、少なくとも我々ズームにとっては、多くの優れた“問い”に巡り合うことの出来た、思い入れ深い年になったと言えます。

私がズームの経営を引き継いでからそろそろ四年が経ちますが、今年はこれまでと比べるべくもなく、多くの時間を社内での対話に費やしました。

この大きな社会的変容のただ中で、如何様な生存戦略をとるべきなのか。クライアントが真に求めているものは何か。我々ズームが提供している⏤⏤もしくは提供でき得る、最大の価値とは何か。本当に集中すべき業務、エネルギーを注ぎたい事業とはどんなものか。

ミクロからマクロまで、数多くの対話を重ねました。

そうした議論を深めていく中で、「これまで自分たちが蓄積してきた知見を今一度言語化する」といった動きが生まれ、講演という形でナレッジやノウハウを共有・提供する場を設けたりもしました。

自社のリブランディングを進めていく中で、我々が提供している真の価値とは、目に見える納品物のそのずっと手前にある“プロセス”にあったのだと、気づきを得ることができました。

そうして活動を広げたり逆に限定したり、大きな流れとして見直し、改良していくことで、これまでよりも高い価値を提供できるようになりました。実際に多くのクライアントから得た反響で実感するところもありますし、これだけ大変な⏤⏤未曾有の危機的状況にあって、業績に大した打撃もなく、本年の終わりを迎えることができています。



資本主義という枠組みにおいて、企業活動の目的とは端的にみれば利潤の追求です。より高い価値を創出し、より高い生産性を実現し、多くの資本が集まるような構造を組み立てることに他なりません。非常にシンプルです。そしてこれからも、それが変わることはないでしょう。

しかし、2020年というこの特異な一年を通して、「それだけでは経済の維持、社会の持続がままならないのではないか」という発想を、多くの人⏤⏤経営者のみならず上から下まで遍く様々な立場の人々が、一斉に抱きはじめたように感じます。

現に私自身、これまでも決して思うところがなかったわけではないですが、より一層、自分が社会の生態系-エコシステム-の一部として、どう影響を及ぼせるのか、どんな価値で以って寄与できるのか、そんなことを強くイメージする時間が飛躍的に増えました。

恐らくこれから、企業はますますエコシステムやサスティナビリティという考え方を重要視しなければならない状況に向かっていきます。利潤を求める企業活動を続けながら、それが社会構造にどう好影響を及ぼしていけるのか、マクロ的な社会の成長にどう寄与するのか、今までよりも広い視点で事業を見つめる意識が増していくことでしょう。



きっと今は、岐路なのです。



我々企業人一人一人が改めて、この社会を生態系として捉え、その進化の行き先を熟考することが求められています。

少し大仰に聞こえるかもしれませんが、少なくとも我々ズームは、自らの活動をそのように規定し、自分たちの信じる持続可能な未来に向けて舵を切りました。上でも記したように、既に実際の行動も起こしています。

そしてそれらは今のところ、我々の手の届く-反響を直ちに確認できる-ステークホルダーにとっては、少なくとも良い結果に結びついています。

もちろんまだまだ小さな一歩ではあり、これからどうなるかはわかりません。でもきっと、いい判断だったのだと、やりがいを感じる自分の心がそう教えてくれています。



『新型コロナウイルス』の猛威は、まだまだ予断を許しません。恐らく当分の間は、緊張感に迫られる状況が続くでしょう。

それは当然のことと憂慮しつつ、この危機的状況から多くの良質な“問い”を感じ取り、これまで以上に自らの信念と美学を磨き上げていく、来年はそんな一年になるような、そんな気がしています。



それでは、今年も一年ご高覧ありがとうございました。
来年もまた、変わらぬご愛顧のほどよろしくお願い申し上げます。

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